英語との対比で覚えよう:ドイツ語の2つの目的語の違い

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念のため繰り返しますが、あくまでこのカテゴリにおけるドイツ語の勉強は、語学学校や参考書や大学の授業などのサブノートとして活用していただければと思います。

たくさんあるドイツ語の格変化や動詞の不規則変化表をすべてはここで網羅しきれませんし、語学に関しては素人の私よりも参考書のほうがはるかに分かりやすいと思います。

ただそれでも、1から始めた人にしか分からない不明点や難しい項目などはあると思いますので、その辺に関しては同じ苦労をなめた私の知識や勉強法も多少はお役に立てるのかと思います。

今回も、引き続き文法の基礎知識についてまとめていきます。今回のお題は『目的語』です。最低限、主語、動詞、目的語の区別がつかなくてはドイツ語の文章を読むのは難しいと思います。

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目的語とは

広辞苑によると目的語の定義とは以下のとおりです。

動詞が表す動作の対象となるもの。ふつう体言からなり、他動詞とともにつかわれる。動作の直接的な対象を表す直接目的語と、動作の利益や間接的な影響をうけるものを表す間接目的語に分かれる。前者は対格、後者は与格をとる

この広辞苑の説明がものすごく重要です。直接目的語と間接目的語との違い、対格と与格の違いが(そもそも、対格と与格なんて言葉を私はドイツ語を勉強し始めてから知りましたが)、あとから必要になってきますので軽く憶えておいてください。

要するに、『私はあなたに「リンゴ」をあげるね』と言った場合、まず動詞が『あげる』だというのはすぐに分かると思います。
動詞:『あげる』、と分かったので、『何を』あげるか、が直接目的語の指し示すところです。すなわち、リンゴです。
直接目的語:『リンゴ』。さあ、あとは、動作の利益や間接的な影響をうけるのは誰でしょうか?そうです、あなたです。
間接目的語:『あなた』。

これで終了です。さて、上記の構造をまずは英語に、次いでドイツ語におきかえて考えてみましょう(先に英語のクッションをいれたほうが分かりやすいですので、まず英語の構文をおさらいしましょう)。

英語における構文

みなさんは、以下の英語の構文の区別を憶えていますでしょうか?
第三文型(SVO)、第四文型(SVOO)です。忘れてしまったという人のために、以下で解説してきます。

1.SVO(第三文型)

Sは『主語(subject)』
Vは『動詞(verb)』
Oは『目的語(ojbect)』です。

英語の基本的と言われているもので、要するに『誰かが何かをする』という構文です。これに、修飾語などがくっついて複雑になっていくのですが、まず簡単な例をあげてみましょう。
例1.He buys a ball.
彼は(主語:he)、ボールを(目的語:a ball)、買います(動詞:buys)。

ここに、前回やったような副詞とか形容詞とかがくっついて、徐々に複雑になっていくのですが、言わんとする文章の構造としては『彼はボールを買う』です。

では、もう一つ英語の復習をしてみましょう。

2.SVOO(第四文型)

今回は、Oが二つでてきました。最初のところで間接目的語と直接目的語の違いについてふれましたが、最初にくるOが『間接目的語(誰に)』、最後にくるOが『直接目的語(何を)』です。

例をあげてみましょう。
例2.I gave her a book.
私は(主語:I)、彼女に(間接目的語:her)、本を(直接目的語:a book)、あげました(動詞:gave)。となります。

これもまた、修飾語がともなうことによって複雑になっていきますが、差当り間接目的語と直接目的語の違いさえ判っていただければ大丈夫です。

また、英語でこのSVOO構文をとる動詞というものは決まっています(give, make, showなどなど)。これはドイツ語でも同じです。

この『間接目的語』と『直接目的語』を用いたSCO並びにSVOOの構造が、ドイツ語ではとても重要な意味をもってきます。

ドイツ語における目的語

ドイツ語で、間接目的語を『Dativ』、直接目的語を『Akksativ』といいます(日本語では、3格、4格と書いてある参考書が多いですが、ドイツではそうは言わないので、Dativ, Akkusativ)と憶えてしまいましょう。

ここで分かりやすくするために、英語との対比をみてみましょう。
例1.He buys a ball.
→Er kauft einen Ball.

例2.I gave her a book.
→Ich gabe ihr ein Buch.

文章の構造自体はそう複雑なものではないのでお分かりいただけるかと思いますが、問題はeinen Ball とかein Buch とか、冠詞が変化している点です。

この2つの文章の場合ですと、両方とも直接目的語なので、それぞれ冠詞が『Akksativ』変化をこうむったことになります。

前回冠詞の基礎を少し触れましたが、何かSVOO構文の文をつくるとき、我々は以下のようなことをしなくてはいけないのです。

  1. ある目的となる事物が何名詞か(男性?女性?・・)を考える。
  2. →これによって、まず変化の仕方が異なってきますので、何名詞かの区別を知ることは大前提です。なので、ボキャブラリーを増やすときには必ず冠詞とセットで暗記しましょう。

  3. その名詞の冠詞が、定冠詞か不定冠詞か、はたまた他の冠詞なのか見分ける
  4. →Ich kaufe einen Ball(私はボールを一つ買う)なのかIch kaufe den Ball(私はそのボールを買う) なのか Ich kaufe keinen Ball(私はボールを買わない)なのか、という区別をつけなくてはいけません。

  5. その名詞が、主語なのか、間接目的語なのか、直接目的語なのか、それとも属格(何かを所有している格)なのかを考える。

間接目的語でしたらeinem Ballになってしまいますし(大抵は間接目的語のところには人が来ますが)、属格ならeines Ballsになってしまいます。

今回の記事はあくまで基本の概念なので、一旦ここらへんで終えますが、重要なのはその事物が『直接目的語』なのか『間接目的語』なのかを見極めながら文章を読むことです。

そうすれば自ずと、会話の中でも『直接目的語』と『間接目的語』の区別がついてきますので、このへんは数をこなして慣れていく以外にないと思います。