芸術の国ドイツ:ドイツの美術館(Museum)事情と訪問の際の注意点

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ドイツは自他ともに認める芸術大国です。ドイツ国内にはたくさんの芸術系大学があり、町にでると広場や公園などに謎の前衛的なモニュメントがたくさん並んでいます。

ドュッセルドルフのモニュメント

ドュッセルドルフのモニュメント

そんなわけで、ドイツには星の数ほど美術館があります。毎年新しい美術館が出来ますし、ナチスミュージアム、自動車ミュージアム、ガーデニングミュージアムなど様々なジャンルの美術館があちらこちらにあるので、滞在中に全部まわろうとしても不可能な話でしょう。

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ひとつの都市に美術館・博物館が複数あって、それらが別々の特色をもっている(自然博物館、歴史博物館など)といったことも珍しくありません。

Es gibt kulturhistorische, naturwissenschaftliche oder technikhistorische Museen, Kunstmuseen, Freilichtmuseen, Schloss- oder Burgmuseen und Spezialmuseen

『ドイツ国内には文化博物館、自然博物館、技術博物館、美術館、民俗博物館、城塞博物館、山岳博物館、あるいはスペシャル博物館などが存在する』

(スペシャル博物館とはなんでしょうか?笑)

stuttgart美術館

stuttgart美術館

また、おさめられている作品に関しても、ドイツだけでなくヨーロッパ各国の様々な美術品が集められていますので、美術に関心のある方にとっては滞在中に飽きがくることはまず無いと思います。

今回は、ビールと並ぶドイツ滞在の醍醐味である『ドイツの美術館巡り』にあたって必要な知識をまとめていきたいと思います。

ドイツと美術館

さて『Museum』という単語が日本語の『美術館』『博物館』という意味を持っているのですが、ドイツではあたまに『技術博物館』とか『東洋美術館』とか単語をつけて、ある程度の使い分けをします。

ともかく、美術、学術、歴史など、知的な物事にドイツの政府は力をいれているようで、こうした学術的な施設はドイツ国内に数多く存在していることは事実です。美術館の数は不明ですが、大小含めるとおおよそ6000程度あるそうです。

Wie viele Museen gibt es in Deutschland?

In Deutschland existieren mehr als 6.000 Museen unterschiedlicher Gattungen und in verschiedenen Trägerschaften.

『ドイツ国内にはどれほど美術館があるの?
ドイツには、様々な種類のものや、後方支援団体のものも含めると、6000以上の美術館が存在する』

どの都市にどういった美術館があるのか、という疑問は、例えばお住まいの地区のインフォメーションセンターに尋ねてもいいですし、地球の歩き方などにも載っていますし、あるいは以下のようなサイトで調べることもできます。

http://museen.de/index.html

ドイツの美術館は基本的には学割がききますので、正規価格の半額程度で入館することができます。また、各都市に設けられている『Stadt Museum』というものは、無料であったり、費用がかかってとしても2ユーロ程度で入ることが可能です。

今回、Munsterという都市に新たに美術館が開設したので、早速いってきました。なので、そこの写真などを例にドイツの美術館の概要をまとめていこうと思います。

LWL美術館

LWL美術館

ドイツの美術館とマナー

まず初めに、写真撮影に関してですが、これは撮影可能なところと不可能なところがあります。不可能なところは壁に『カメラとばってん』がマークしてありますので、すぐに分かるかと思います(撮影不可能なので、撮影不可能を表す標識の撮影もできませんが笑)。

また、写真撮影可能なところであっても、フラッシュをたくと絵画などを痛めますので、フラッシュは控えるようにしましょう。

それと、当然のことながら飲食は禁じられています。絵画や彫刻、調度品のようなものにも、基本的には触ることはできません。大声での会話や携帯電話での会話は慎みましょう。まあ、この辺のルールは日本の美術館とあまり変わらないかと思います。

もう一つ、ドイツでは美術館に入る前に基本的に自身の手荷物はロッカーにあずけることとなっています。

カバンを預けるロッカー

カバンを預けるロッカー

こうしたロッカーに手荷物をいれるのですが、中にお金を入れるところがあります。全部とは言いませんが、大体1ユーロを入れる仕組みのもので、帰るときにはその1ユーロは返って来る仕様です。とり忘れないように注意しましょう。

お金をいれるところ

お金をいれるところ

美術館の設備とチケット

ドイツの公衆トイレは有料ですが、美術館に併設されているトイレは99%無料です。喫煙コーナーは外に設けられており、あとは美術館によっては販売コーナーや、カフェや、中には美術書専門の図書館が設けられているようなところまであります。

併設されているミュージアムショップ

併設されているミュージアムショップ

Auditoriumは講堂という意味です。ちなみに、このLWL美術館は2014年9月にオープンしたばかりということで、中はとてもキレイでした。

LWL美術館の内部

LWL美術館の内部

チケットは下記の写真のように『Kasse』と書かれたカウンターで購入することができます。大学の学生証をもっていれば学生料金で入れますが、語学学校の学生証では学生料金で可能なところと可能でないところがあります。

チケットカウンター

チケットカウンター

あとは、入り口のところで立っている警備員のような人にチケットを見せれば中に入れます。同じ日であれば、出たり入ったりは自由ですので、疲れたから一旦外で休んで、また中を見よう、ということも可能です。

美術館の中に入ると、最初にこうした椅子のようなものが並べられています。これは、気に入った作品の前で座って眺めることができるようにと置かれているもので、これを自由に持ち運んで美術館内を歩くことができます。

美術館の椅子

美術館の椅子

ドイツの美術

美術館の見学に入る前に、少しだけドイツの美術の概要について触れていきたいと思います。

当然各国と比べるとドイツ美術の特色というものがあるのですが、基本的には、日本美術のように西洋からかけ離れたもの、というよりは、ルネサンス期にイタリアから文化が流入したり、写実主義の技術が流入したり、宗教や政治の影響を受けたりと、要するにヨーロッパと西洋思想の影響を色濃くうけています。

なので、ドイツという国よりも、こうした歴史や学派による違いで西洋の美術はカテゴライズされていることが多いです。例えば、代表的なものですと、印象派、古典主義、表現主義、バルビゾン派、フランドル派、などなどです。

印象派の絵画

印象派の絵画

第一次世界大戦後までは、ドイツには大量の思想家や画家や彫刻家がいたのですが、ヒトラー政権化にアメリカなどに亡命したため、戦後しばらくの低迷期を迎えます。

現在では、ドイツ政府は再び美術・学術に重きをおく政策をおこなっており、例えば美術大学などにはドイツ人だけでなく、アメリカ人やイタリア人の講師などが多く招かれています。国内にたくさんの美術館があるのも、そうした政策のあらわれでしょうか。

さて、次回以降ドイツの美術館をより一層愉しむため、歴史をまじえながら中の様子を紹介していきます。

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