MBAとどっちが得?社会人がドイツの大学院に留学するメリットとは!?

一度社会人を経たうえで再度学位を取得したい、という話はよくあります。私自身そうでした。その場合、メジャーなのはMBA、特にアメリカやイギリスなど英語圏への留学ではないでしょうか。

今回は、ドイツの大学院という、留学市場でもそこまでメジャーではない地域への社会人からの留学にどのようなメリットがあるのか、あるいはメリットなんてないのか、を経験者の立場からまとめていきます。

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ドイツの大学院とはそもそも何をする場所なのか

まず、ドイツにおける大学院の立ち位置を明確にしておきましょう。ドイツにおける大学院とは、大学の延長線上にあるもので、それゆえドイツでは大卒者の7割程度が大学院への進学を行っています。日本ですと、文系者が大学院に行くことはメジャーではありませんが、ドイツではそれが当たり前のようになっています。

では、ドイツ人がこうも熱心に大学院を目指す理由とはなんでしょうか?秘密はドイツの就職事情にあります。日本のサラリーマンは何でも屋のような「ジェネラリスト」が好まれますが、ドイツでは「スペシャリスト」であることがキャリア形成に重要な意味を持ちます。

大学での勉強はどちらかといえば「広く浅く」の学問分野で、大学院に行くとより専門的な、自分のフィールドに特化した部門を選択して勉強できる、というわけです。そして、この「専門性」は、ドイツでよい給料を得るために大きな役割を担ってきます。

実際に、大卒と大学院卒の給料を比較すると、16パーセント近く開きが出る、と言われており、昇進などのスピードにも大きく影響してきます。そのため、ドイツ人は理系、文系を問わず、大学院への進学を嗜好する傾向にある、というわけです。

さて、今見てきたのは「ドイツ人」にとっての大学院就職のメリットです。それでは、社会人経験のある日本人が、ドイツの大学・大学院に留学するメリットは存在するのでしょうか?

アメリカ・イギリスのMBAvsドイツの大学院

もちろん、ドイツにも英語だけで授業を行うビジネススクール、つまりMBAプログラムのようなものは用意されていますが、年間にかかる費用はアメリカやイギリスに留学するのと大して変わりませんし、アメリカのMBAとドイツのMBAを比較すると、ドイツのほうは世界的な知名度もそこまで高くありません。

ですので、ドイツのMBAを受講するのであれば、だったらアメリカ、イギリスのMBAプログラムを受講したほうがよいと思います。ですので、ここでは「英語圏のMBAvsドイツの大学院」を比較することにしましょう。まず、英語圏MBAと比較した際のドイツ大学院のメリットを見てみます。

ドイツの大学院のメリット

  • 授業料が安い
  • アメリカなどの難関MBAのように入学がとても難しいわけではない
  • 生活を通じて英語のみならずドイツ語が身に着く
  • 卒業後にドイツで就職する道が開かれる

一番の魅力は、年間の授業料が安い、ということです。MBAプログラムに応募したら、場合によっては1000万、2000万という巨額の費用が必要になりますが、ドイツの大学院の場合、学費はあってないようなものですので、年間で5万円程度です(+生活費)。

また、入学要綱も難関MBAのようにそこまで難しいわけではありません。必要なのは学部時代の成績と、ドイツ語力で、学部によってはドイツ語力はなくても大丈夫です。かたや、難関MBAと呼ばれるところに合格するためには、一定上の職歴が必要だったり、GMATのような筆記試験をパスしなくてはいけませんので、そのための条件を満たすのが大変です。

続いて、語学に関しては、英語プラスドイツ語が勉強できますので、将来的に話せる言語が一つ増えます。ただ、後述するように、ドイツ語がどこまで実用的な言語かは疑問符が付きますが。

最後に、ドイツの大学院に進学する決定的な魅力は、卒業後に「ドイツで就職」がしやすくなるという点です。人脈しかり、ドイツでの学位しかり、これらはドイツで就職するにあたって大きな糧となります。逆に言えば、ドイツの大学院を卒業して、日本で活かそうと考える場合、そこまで直接キャリアアップに結び付かない気がします。

ドイツの大学院のデメリット

  • MBAのように社会人のメリットがそこまで活かせない
  • 多くのケースで入学にドイツ語が求められる
  • ドイツ語はそこまで有用ではない
  • MBAのようにキャリアアップに直結するとはいいがたい

まず、注意しなくてはいけないのが、MBAなどと違い、ドイツの大学院はあくまで「大学」の延長線上にあるので、社会人経験の有無はそこまで重要ではない、ということです。勉強できることも、それゆえ、「実践的」なことと「理論的」なこととの割合が半々程度と言われています。

ですので、英語圏のMBAのように、30歳過ぎの有名企業のマネージャーなどに交じってディベートを行ったりする光景を想像するのであれば、ちょっと期待外れかと思います。ドイツの大学院は、黙々と試験を受け、セミナー論文を書き、頑張って単位を集める作業です。

続いて、ドイツの大学院(特に文系)に入学するには、多くのケースでドイツ語力が必要になってきます。まったくのゼロからドイツ語の勉強をはじめるとすると、1年くらいは見ておいたほうがいいでしょう。

そして、ここまで頑張ってドイツ語を身に着けても、実はそこまで実用的な言語ではないことに気が付きます。なぜか。ドイツ人はみな英語が話せるので、ドイツでドイツ人に交じって働く、とかドイツの通訳になる、とか、ドイツ語が恒常的に必要な環境に身を置かない限り、そこまで活用できる機会がないからです。その点では、英語をもっと完璧に使いこなせるようにするか、中国語やスペイン語を覚えたほうが実用的かと思います。

そして最後に、上述のように、性格上ドイツの大学院は大学の延長戦で、理論的なことの割合が多いので、卒業後に直接キャリアアップには結びつきづらいです。特に、文系の場合、日本で社会人→ドイツの大学院→という経路をたどってしまうと、日本でその知識を活かせるフィールドは限られてきます。理系はともかく、文系の場合、ドイツの大学院を出たら、ドイツで就職する以外に、あまり使い道がないことに気が付きました。

ただ、別の記事でも書きましたが、ドイツで就職するのは楽ではありません。

留学の目的と方向性を渡航前にしっかりと見極めよう!ドイツでの就職は楽じゃない

社会人がドイツの大学院に留学するのはアリか、無しか

さて、ここまででドイツの大学院をMBAなどと比較したうえで、メリットとデメリットを見てきました。ドイツ語の勉強を含め、ドイツの大学院を卒業するまで(うち1年はインターン)、私は4年間かかりました。

社会人からの留学を考えるのであれば、20歳後半、あるいは30歳前半くらいが想定されていると思いますが、果たしてこのキャリア形成に重要な時期に、4年間を大学院生として学びなおすのは、効率的でしょうか。

もちろん、上述のように、ドイツの大学院に社会人が留学するメリットはたくさんあります。言語力も身に着きますし、人脈も増えました。ただ、これらは大学卒業後、日本に戻ってもあまり活かせるものだとは思えません。

ですので、日本人の20歳後半~30歳前半の社会人がドイツの大学院進学を目指すのであれば、「卒業後にドイツで就職する確固たる意志がある」「ドイツで得た知識を自分の分野に適用できる自信がある」という括弧つきで、意味をなすと思います。それ以外のケースでは、上述したように、そこまで汎用性があるとは思えません。

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