ドイツの大学院で数学の講義を受けてみた感想と試験対策

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前回同様、ドイツの大学で受けた講義の感想を書いていきます。続いての講義は『数学』です。私は数学は苦手な方ではなかったのですが、それでも、ドイツ語での試験は予想以上にしんどいものがありました。

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ドイツの大学で受講した数学の講義

まず、私の専攻は経済です。というわけで、計量経済学、統計学など、数学を使う場面は数多く登場します。そして今回は『最適化のための数学(Optimierung)』という必須科目をとったのですが、中々に手ごたえがありましたのでつらつらと説明していきます。

最適化、というのは、企業なり国などが、なにか施策や政策を行ううえで必要な概念です。一番単純な例は、企業の利益を最適化させるための式で、以下のようなモノです。

全体の小麦を生産するにかかる費用=2p^2+12p
製造する小麦の量(1kg)=p
小麦1kgを売る時の値段=50

この場合、会社の利益は売値×量の50pから、費用である2p^2+12pを引いたものになりますので、最適化のための式は50p-(2p^2+12p)となり、これを微分すると-4p+38となり、この式が0になる点のPの答え=9.5こそが、この会社が一番利益を得られる小麦の製造量ということになります。

これがいわゆる「最適化」といわれる概念の一番基礎的な考えです。実際は、これだけでなく、ここにヘッセマトリックス、シンプレックス法、ラグランジェ法などが絡んできて、より複雑なものになってくるわけです。当然、講義や試験はすべてドイツ語で行われるわけで、単語や概念に慣れて置かないと、正直ついていけない部分が多くあります。特に、上述のような式は、インターネットで調べても中々文献が見つかりませんし、私も大学時代に文系で、ここまで踏み込んだ数学はしなかったので(もしくは、したけれども忘れた)、かなり苦戦しました。

数学用語解説(ドイツ語バージョン)

続いて、少しドイツ語の数学用語を解説していきたいと思います。繰り返しますが、私は数学のエキスパートではないので、独→日に訳するときに多少のずれがあるかもしれませんし、概念的にも100%理解しているわけではありませんので注意してください。あくまで普通の経済学専攻の日本人学生が授業を受けて理解した内容をここではまとめていきます。

1.ヘッセマトリックス

ヘッセマトリックス(行列)に関しては、まあインターネットでしらべれば割とたくさん日本語でも例題が見つかりますし、概念自体そこまで難しいものではありません。要するに、関数における極地判定を行うためのツールで、行列が3つ以上になると計算が途端に面倒になります。

In der Hesse-Matrix einer Funktion werden alle zweiten partiellen Ableitungen zusammengefasst. In der ersten Zeile stehen dabei alle Ableitungen, bei denen zuerst nach der ersten Variable abgeleitet wurde, in der zweiten Zeile wurde zuerst nach der zweiten Variablen abgeleitet und so weiter.

『ヘッセマトリックスにおいては、一つの関数の2回微分した形がまとめられている。一行目は、最初の変数(x)についての微分が行われた形であり、二行目は、次の変数(y)についての微分が行われ、と以下繰り返されていく。』

私自体、理系ではないのでそもそもこの日本語が正しいかどうかが怪しいです。Ableitungとは微分のことで、zweite Ableitungは二回目の微分です。Variableは変数のことで、Funktionは英語と同様、関数のことです。

例えば、三次元の関数のグラフなどで、極地が最大値であるか、最小値であるかを、式で判断する方法です。これがあると、企業の生産する量のコストが本当に最小値であるのか、といった問題が解けるようになります。

2.シンプレックス法

Ein Simplex-Verfahren (auch Simplex-Algorithmus) ist ein Optimierungsverfahren der Numerik zur Lösung linearer Optimierungsprobleme, auch als Lineare Programme (LP) bezeichnet.

(wikipedia参照)

『シンプレックス法とは、線形最適化問題を数的におこなうための最適化の一つの手段のことで、線形プログラムとも呼ばれている』

これも便利な方法ですが、今どきはほとんどコンピューター任せで、手計算でやるのは学生ぐらいです(数学科の友人曰く)。A工場ではねじを一日3つ、パイプを4作れます、B工場ではねじを一日7つ、パイプを1つ、C工場では・・以下略。この条件下で、A~D工場を駆使して、最も効率よくねじを100個、パイプを200個作るにはどうしたらよいでしょう、的な問題で使用される方法です。

ちなみに、数が少ないうちは平面図形上に関数を書きだしても原始的に解答を得ることができますが、次元が高まるにつれて不可能になり、シンプレックス法という数学的な手法を用いざるを得なくなります。

こうした数学3C(?)の領域的なものは、私はゆとり世代なので勉強したことがありませんでした。

ドイツの数学試験を乗り切るには

ドイツは、割と文系でも理系的な要素が絡まっています。そもそも、経済学はドイツでは文系(master of art)ではなく理系(master of science)に分類されています。というわけで、大学時代に数学から離れていた私のような人にとってはドイツ語でまた一から覚え直すのはえらく骨の折れる作業です。ですので、ここでは簡単に、単位を取得する方法を紹介します。

まず、試験の採点ですが、部分点と解答点があります。部分点は、式が途中まであっていた際、あるいは方向性が正しかった際にもらえる点数で、解答点は文字通り、最後の回答があっていた際にもらえる点数です。部分点の中には、解放の整合性も含まれます。日本語でいえば『証明』『条件わけ』にあたるものです。

さて、この照明や条件わけは、当然ドイツ語でおこなうのですが、往々にしてドイツの試験では時間が足りません。日本の国立二次試験をイメージしてもらえばいいかと思いますが、あんな感じで、そもそも母国語ですら時間が足りないイメージです。

というわけで、私はちまちまドイツ語で途中の説明をしていたら間違いなく時間が足りなくなると思い『Deshalb(ゆえに)』『es folgt』『d.h(つまり)』『aus(~から)』あたりの簡単な接続語のみ用いて、あとは数字だけで解答用紙を埋めました。少なくとも、解答があっていれば点数はもらえますので、

続いて、試験のための勉強ですが、これは解き方を丸暗記しました。いまだに、なぜヘッセ行列で極値判定ができるのかとか、ラグランジェメソッドでどうして解が見つかるのかとか、理論的なことは分かりませんが、まあsinとかcosとかeの公式も、原理を知らなくても文系であれば試験さえ受かればよいので、丸暗記でもなんとかなるはずです、この辺の証明をさせるような問題は滅多にでません。

幸い、数学の場合問題集が大学の図書館にたくさんありますので、これを1週間も黙々と解いていれば、成績はどうあれ、単位だけは獲得することができます。あと、間にあったら解放や理論的なところも勉強していけばいいわけで、優先順位としてはひたすら問題をといて解答パターンを覚えることです(これが良い勉強のやり方かどうかはともかく)。

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