私のドイツ留学1:一社会人が会社を退職し、ドイツ留学を決めるまで

私が留学のために日本の会社を辞めたのは2013年ですので、かれこれ4年近く前のことになります。それからドイツの語学学校でドイツ語を勉強し、大学院に入学、インターンの経験などを経て、最終的に卒業・就職まで至りました。

当時26歳で会社を退職した私もすでに30歳を迎えましたが、まだまだ勉強するべきことは多いです。今後どういった方向性に向かうのは不明確ですが、一応、留学、卒業、就職、というイベントを経験したので、区切りの意味を込めて、退職からの全ての流れをまとめていきたいと思います。

今後、社会人からのドイツ留学を目指す人のために、主観的+客観的に書いていければと思います。

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会社を退職する

自己紹介のところでも書きましたが、私はもともと東京の大学の文系学部の出身で、ドイツはもとより、海外とはそこまで縁のない生活を送ってきました。大卒で某証券会社に就職し、4年ほど営業として働きます。

私は宗教には興味がありませんが、ときどき「縁」というものを考えることがあります。単に人との関係だけでなく、ささやかなきっかけ、ささやかな思い付きが、その後の人生に大きく響いてくる因果関係のことです。

私の場合、たまたまプロジェクト上のなりゆきで、一緒に仕事をすることになった人がいました。そのプロジェクトに私が参加していなかったら私はその人に出会っていませんし、そもそもこの会社に入っていなければ、このプロジェクトに参加していません。

さて、プロジェクトを通じて個人的にその人とやり取りをする機会もあり、一緒に飲みに行ったりする仲になりました。私よりも一回り年上の人でしたが、あまり年齢差を感じさせない、非常におおらかな性格の持ち主でした。

何度か飲みに行くような関係になると、その席での話題も、仕事の話から次第にプライベートな話にシフトしていきます。その人の経歴の話を聞くようになりました。高校卒業後、ドイツに留学、大学院含めて6年間ドイツに滞在し、その後ドイツで就職後、現在は日本に滞在している、という経歴の方でした。

私の感情がいつから「すごい」から「自分もしてみたい」に変わったのか分かりません。上述の通り、私は別に海外経験があるわけでもありませんし、そこまでアクティブな性格でもありません。激務ではありましたが、会社や同僚にもそこまで不満はありませんでしたし、その後のキャリアをそこで終えてもいいと考えていました。

20代も後半に差し掛かるころで、仮にここで留学を志すとしたら、人生設計が大きく狂うであろうことは間違いありません。何が私をこの決断に駆り立てたのか、おそらく、その人との出会いは一つの引き金だったとは思いますが、当時を鑑みるに、もっと単純に、私は新しい世界を味わいたかったのかも知れません。

最終的に、私は理性ではなく原始的な直感で動きました。上司にはお世話になっていたので、彼と、さらにその上の人事部の納得する理由を論理的に考える必要はありましたが、これは時間をかければ何とかなるものでした。最初に退職の話を切り出してから半年後、私は会社を辞め、ドイツ留学の道を歩み始めました。

なぜドイツだったのか

別に、わたしには必ずしもドイツにこだわる必要はありませんでしたが、まず、英語圏だと学費が高いので、アメリカやオーストラリアははなから選択肢から除外する必要がありました。

上述のように、プロジェクトでお世話になった人の話を聞く限り、ドイツの大学の情報はいくつか拾うことができたのが、まずドイツに決めるにあたって少し役立ちました。スペインやフランスも考えたのですが、卒業後のキャリアを考えると、金融関係で働いていた、ということもあり、ドイツのほうが何となくその点有利そうだと考え、最終的にドイツに決定しました。最終的に、これも直感です。

そうと決まれば、今度は具体的にどの大学にするのか、どうやってドイツ語を勉強するのか、という方法論的な話にうつります。

私は、ドイツの語学学校でドイツ語を勉強するルートを選択しました。まず、第一に私には海外経験が旅行くらいしか無かったので、大学生活を始める前に、海外生活に慣れ親しんでおく必要があると踏んだからです。第二に、他のことに煩わされず、ドイツ語の勉強だけに短期間で集中し、さっさと大学に入りたいと考えたのがもう一つの理由です。日本にいると私の性格的に集中できないと考えました。

と、いうわけで今度は語学学校選びです。大学の受験用コースは安いですが、参加するためには一定レベルのドイツ語レベルが必要なので、まったくのドイツ語素人の私には難しいところでした。

そのため、私立の語学学校に、半年前払いで費用を払い、集中的に勉強することにしました。とはいえ、語学学校の情報は日本で手に入りにくいので、とりあえず地方都市(日本人がいなさそう、安全そう)の語学学校を選択することにしました。

この、語学学校を選定したり、飛行機の手配を行ったりは、会社に残っているうちに同時進行で行いました。

退職と事務手続き

退職し、実家に帰ると、鬼のような事務処理を行う必要があります。まず、勤めていた会社からは、退職金や機密情報保護、健康保険などに関する書類がたくさん届きましたので、それら全てに目を通し、サインして返送する必要がありました。

続いて、年金、健康保険、住民税などの手続きも行う必要があり、最終的に全部の手続きを終えるまで、1ヵ月程度かかりました。ですので、退職から渡航までの日にちには割とゆとりを持つことをお勧めします。

海外に行ったらいつ帰ってくるのか分からない、という理由で、私の実家の私物は捨てて行けと母親に言われたので、泣く泣くいろいろなものを手放しました。

とにかく、やることが色々とあり、渡航前日の夜、慌てて深夜営業のドン・キホーテに足りないものを買いに行き、翌日寝不足で出発したことを覚えています。

これは私の悪い癖なのですが、「なんとかなるだろう」と思っているので、やることが多くなりすぎると一部分を放擲して後回しにします。実際、ドイツでは大体なんでも手に入りますので(日本食以外)、荷造りはそこまで真面目にやらなくても大丈夫です。

というわけで、留学に行くにしてはかなり軽装で私はドイツ留学に出発しました。2013年のことです。