不良品を買ってしまった!?ドイツでのクレーム対応のヒント

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日本と違い、ドイツではそこまで顧客至上主義はとられていません。バスの運転手はハンバーガーを食べながら運転しますし、手紙の配達員は煙草を吸いながら配達しますし、スーパーのお姉さんは同僚と雑談したり座りながら接客する、という非常に緩い文化です。そんなわけで、クレーム対応も日本のように大事ではなく、あくまで客と店は対等な立場で交渉をします。今回は、ドイツのお店やレストラン、サービス業でのトラブル対応についてまとめていきたいと思います。

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ドイツ人のクレーム処理

上述の通り、ドイツの接客は非常に雑です。店員は不愛想ですし(特にチェーン店など)、日本の過剰なサービス業とは異なり、質問をしても『邪魔しないでくれる?』的なニュアンスでいなされる場合もあります。これは、我々が日本人だから差別されているわけでもなんでもなく、おしなべてそのような対応です。

私はドイツでよく買い物をしますが、その中でも何度か不良品にぶちあったったことがあります。以下、実例を交えながら、そのような場合の対処法についてまとめていきたいと思います。

1.スーパーでの不良品

頻度は非常に多いです。まず、気を付けなくてはいけないのが『卵』です。卵の場合、買う前に必ずパックを開けて、割れていないかどうかを確認しましょう。中には、レジで店員さんが確認し『これ割れてるけど、いいの?』みたいに聞いてくる場合もありますが、わざわざ並びなおすのも面倒ですし、大抵の場合私は、1~2個ならしょうがない、と言ってあきらめています。

他にも、小麦粉の入り口が開いていたり、食品関係は何かと不良品をよく目にします。これらは、買った後でごねてもどうしようもないので、せいぜいレジでの確認が最後のチャンス、できれば商品を確認する時点で、不良品でないかどうかを確かめる必要があります。買った後でも、レシートさえあれば取り替えてくれるかもしれませんが、たかが100円の卵のためにわざわざまたスーパーまで足を運ぶのも非常にばからしいですので、事前チェックが重要です。

2.家電製品の不良品

私の家は、去年の冬に一週間暖房が壊れる、というトラブルに見舞われましたので、やむなく冬を乗り切るために、小型のファンヒーターを買うことにしました。某電気という、比較的安価な電化製品が購入できる量販店で20ユーロくらいのファンヒーターを買って帰ったのですが、いざつけてみると、中々稼働が悪く、稼働してもすぐに電池が消えます。

説明書を読んでみると『電気代節約のために、部屋の温度を感知して自動的に暖房がオフになる機能付き!』と書かれていたので、そのせいかと思っていましたが、室温はいまだに10度くらいで、なんだか焦げ臭いですし、よくみたら風を送るファンの部分が暖房の部分に絡まって、ファンが溶けていることに気が付きました。

というわけで、さっそく再び電気屋さんに行って、クレームを申し立てます(reklamieren)。レジへ行って「今日買ったファンヒーターが壊れているのでクレーム対応してほしい」というと、サービスレジへ行け、と言われました。

某電気では、レジの隣にサービスレジという、故障やクレームを扱う専門のレジがあるようで、そこに行って、壊れた現物と買った時のレシートを提出します。本人の目の前で、壊れた現物のチェックをするのかと思いきや「OK,で、新しいのと交換する?それとも現ナマで返金する?」と、チェックもせずに言われ、新しいのがほしい、と言うと、じゃあ新しいのとってきなさい、と言われました。

新しいファンヒーターを持っていくと『ここで確認してから持っていく?』と聞かれ、そうしたいと答えると、レジ横のコンセントを使って試運転をさせてくれました。で、クレーム処理は終了です。じゃあ、持って帰っていいわよ、と言われ、特に謝罪もなにもないまま、クレーム対応は終了で、非常にあっさりとしています。業務効率化のためにも、このくらいの接客温度がちょうどいいのかも知れません。

というわけで、スーパーにしろ、家電量販店にしろ、対応はしてくれますが、対応はそこまで良くないです。そして、大前提として「買った時のレシート」が必要になってきますので、特に家電を購入するときは、必ずとっておきましょう。

また、ありがちなのが、フリーマーケットやネットオークションなどで保証のついていない商品を購入するさいです。この場合、クレームの申し立ては困難ですので、あらかじめ、そうしたリスクもあることを踏まえたうえで、フリーマーケットやオークションは活用しましょう。

3.WGのトラブル

上述したように、WGのトラブルも頻繁に起こります。特に、ドイツは古い建物が多いので、WGの中には頻繁に修理が必要なものもあり、私のWGもそうです。風呂の水が出ない、暖房がつかない、なども起こりえます。

そんな際は、基本的に、翌月の家賃交渉が可能です。というのも、WGに対する家賃は、あくまで、契約書に定められた「シャワー」「暖房」「インターネット」などが正しく機能することが前提に支払われていますので、それらが機能しないと言うことは、貸主側の契約不履行であり、我々借り手側に請求権があります。

どのくらい家賃をまけてもらえるかは、交渉手腕にかかっていますが、私の友人で風呂が2週間壊れた場合は、家賃350ユーロを半額程度の200ユーロに負けてもらっていたケースもありましたので、頑張ればかなり家賃が戻って来るようです。

ドイツでのトラブルを避けるコツ

海外での生活にトラブルはつきものですので、避けることはできません。ただし、努力次第で、トラブルが起きたとしても、こちらの損害を最小限に食い止めることは可能です。まず、心がけておきたいのは、ドイツは『法治国家』であるということです。

つまり、明文化された契約、文書が優先され、いわゆる「一般常識」や口約束は言った言わないの水掛け論になり、結果として、両者のサインがなされた契約書が有効扱いされます。家電量販店やスーパーでの対応もしかりで、何はさておき「レシート」がないと、その後の異議申し立てを行うことはできません。

この、文書至上主義は、どこへ行っても同じです。住宅の賃貸契約、大学の入学許可、ビザの申請、どこへ行ってもひたすら我々は『サイン』をすることになりますが、あまり不要になんでもかんでもサインしていると、落とし穴に落ちる危険があります。

ですので、ある程度大きな買い物、契約の締結に際しては、ドイツ語に自身の無い場合(自信があっても場合によっては)、必ず現地人の助言を借りましょう。中には、外国人を食い物にするビジネスが横行していますし、それでも、契約書さえ締結してしまえば、いくらそれが常識的に鑑みて不当なものあっても、結局、騙した側が正しいことになってしまいます。

日本のお客様至上文化で育ってしまった我々には馴染みがないですが、とりあえず、自分の身は自分で守る、安易な買い物や契約は軽々におこなわない、という意識を念頭に置いておきましょう。