外国語を学習・習得するのにシンプルだが重要な3つの要素

英語でもドイツ語でもいいのですが、いわゆる「外国語」を習得するにあたって、様々な勉強方法が巷には溢れかえっています。「海外に行かなくてもTOEIC満点取る方法」「文法なんて知らなくっても海外で英語漬けになれば大丈夫」「聞けば英語が話せるようになる速読CD」などなど、王道から胡散臭いものまで。

さて、いったい正解はどれなのでしょうか?今回は、英語を独学で、ドイツ語を7ヵ月で習得した私の経験を交えてまとめていきたいと思います。

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語学を習得できるメカニズム

まず、私の考えから言うと、「楽して語学を学べる方法」は存在しません。そんなものを謳っているメソッドや会社があるのであれば、それは十中八九詐欺です。1パーセントくらい本物があるかも知れませんが、その可能性に賭けて貴重なお金をどぶに捨てるのはあまりにリスキーでしょう。

「楽して学べる」方法はありませんが、「効率の良い方法」なら存在します。語学の勉強はある意味、筋トレに似ていると思います。いくら重いバーベルを頑張ってあげても、姿勢が悪いと筋肉はつきづらいですし、筋トレだけでなく、食生活も重要ですし、上半身だけでなく、下半身も鍛えないとバランスが悪くなります。

なにが言いたいかというと、語学の勉強は、そのように「複合的」なものだということ、それぞれがお互いに補完しあってシナジー効果のようなものを生み出している、と考えてください。

つまり、「リスニング」だけをやっていてもある日突然英語が話せるようにはなりませんし、「スピーキング」だけをやっていても語彙は増えませんし、「文法」だけをやっていても映画が理解できるようにはなりません。すべてをバランスよくおこなって初めて、「語学」は身につきます。

語学を習得するのにはバランスが大事

例を出しましょう。オンライン英会話、という英会話勉強メソッドが流行っています。自宅にいながら世界中の講師とスカイプで英語を話すことで、英会話力を鍛えましょう、というものです。

オンライン英会話の会社別のレビューを見ると、別にそこまで悪くありません。「英語が話せて楽しかった」「講師の人が親身になって聞いてくれた」と、利用者はおおよそ満足しています。

でも、オンライン英会話だけをやっていても、楽しいかも知れませんが、英語は話せるようになりません。夏、暑いからプールに泳ぎに行くのと、クロール25メートル早く泳げるようになるのとは、根本的に別の話なのです。オンライン英会話は、いわば英語のプールに浮いているだけの状態だと思ってください。

ここから、語学力を鍛えようとすると、絶対に「意識的に」勉強する必要があります。オンライン英会話で補てんできるのは基本的に「スピーキング」だけです。他の部分、すなわち「文法」「語彙」「リーディング」「ライティング」は、自力で勉強する必要があります。

リーディングとリスニングは「インプット」、ライティングとスピーキングは「アウトプット」と呼ばれています。これらは非常に密接にシナジー効果をもたらします。つまり、インプットしたものをアウトプットすることによって、頭に知識が定着する、という仕組みです。

アウトプットだけ、インプットだけ、の勉強では語学は身につきません。それゆえ、語学の勉強においてはバランスが重要になってくるのです。

語学習得のために必要な3つの要素

私たちがどのように日本語を学習したのか、を考えてみましょう。日本で育ったのであれば、学校や家庭で日本語を聞き、話す機会はたくさんあったと思います。それでも、漢字は小学校のころたくさん練習したと思いますし、新聞なんて漢字や専門用語が多く、小学校中学年ごろまで読めなかったと思います。

日本人である我々でさえ、学校では国語の授業があったはずです。朗読をし、文章を読む練習をしました。年月をかけて語彙や表現を増やし、幼稚園のころは単純な表現しかできなかったものが、次第に抽象的な、高度な表現ができるように脳を進化させてきたのです。

私が考えるに、以下のような要素とその組み合わせが、外国語を習得するにあたって重要です。

1.アウトプットできる環境

これが絶対的に不足していることが、おそらく日本人が英語を話せないと言われるゆえんです。日本で英語を使える機会はほとんどありません。いくら文法や語彙をインプットして、それを知識として「知って」いても、使わないと使い方は学べません。

そのため、人によっては高いお金を払い海外に語学留学したり、国内の語学学校に通ったり、オンライン英会話を利用したり、タンデムパートナーを利用したりします。

2.語彙や表現をインプットできる教材

語彙と表現を増やす→使う→さらに増やす→使う・・・の循環が、私は語学習得の王道だと思います。つまり、アウトプットとインプットを交互に行うことによって、はんだごてのように脳に知識を接着させていくのです。

これは、別に参考書でもいいですし、字幕付きの映画だろうと、新聞だろうと、小説だろうと、自分のレベルに応じてなんでもいいと思います。ちなみに、語彙を知らないと、リスニングはできません。逆に、その単語を知っていて、かつ自分で話し言葉で使いこなせるレベルに達しているのであれば、リスニングで耳にしても、なんとなく分かるようになります。

3.フィードバックをくれる人、環境

インプット→アウトプットの繰り返しで語彙と表現は定着しますが、問題として、誰かがフィードバックをくれない限り、間違ったまま定着してしまっている恐れがあるということです。

特に、会話の根幹に関わるような重要な言い間違いならともかく、些細な言い間違いに関しては、友達もいちいち会話の腰を折るように訂正してはくれないでしょう。外国人が「今日は晴れですね」というところを「今日は晴れたですね」と言ったところで、意味は一緒なので誰も咎めないのと一緒です。

ただ、IELTSやTOEFLなど、文法的な間違いに厳しい試験を受ける場合は、こういった細かい文法事項にも気を付けなくてはいけないので、語学学校やオンライン英会話を利用し、フィードバックを得ないといけません。

個人的には、この「アウトプットできる環境」「インプットできる教材」「フィードバックをくれる人」の3つがそろって初めて、語学は習得できるようになると思います。これらを、別にいっぺんにそろえる必要はありません。

例えば、海外の友人がたくさんいて、アウトプットの環境に困っていない場合は、自分にあった教材を探すだけでいいですし、逆に英語の文章を読むのは好きだけど、アウトプットできる環境にない、という場合には、オンライン英会話やタンデムなどを利用し、それを積極的にアウトプットしていく必要があります。