ドイツの大学・大学院受験のための具体的な流れ(その1)


ドイツの教育水準は充実していますし、経済も安定していますので、入学してしまえば英語圏でMBAを取得する以上にお勧めです。とはいえ、その大学に入るまでが難しく、また情報もあまり出回っていないため、とかく敬遠されがちです。

今回は、このブログを読まれている方からご質問いただきましたので、大学・大学院入学までの具体的な流れについて説明いたします。

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ドイツの大学受験に必要な3つのモノ

授業料や生活費など、合格後の問題はさておき(そもそも授業料年間500ユーロくらいですし)、ドイツの大学院(大学)を受験するためには、以下の3つがあれば望ましいです

  1. 高レベルなドイツ語能力
  2. 中レベルな英語能力(学部による)
  3. 中レベルの大学(高校)の成績

もちろん、学部によって求められるドイツ語、英語、あるいは大学時代の成績などは変化しますが、基本的には、以下のレベルを満たしておくことが望ましいです。

  1. ドイツ語:TestDaF4×4かDSH2
  2. 英語:TOEFL(IBT)87点かIELTS6.0
  3. 成績:GPA2.5以上

補足ですが、英語は文系学部であれば求められるところが多く、Munich大学(超エリート)のように107点くらい求めるところもあれば、逆にTOEFL80点でいいとか、TOEICも認めるとかいう学部もあります。ただし、ドイツの大学の合格率が分からない以上、やはり、受験できる大学の手駒は多い方がいいということで、上記の数字を推奨します。ちなみに、この数字であれば、TOEFLよりはIELTSのほうが楽です。

成績に関してもGPA2.0で受けられるところもあれば、不問なところもあります。ただし『受けられる』と『受かる』は違いますし、世界各国から応募者が集まるところを見ると、競争相手に勝つためには、やはりGPA2.5~3.0以上辺りは最低でも持っておきたいところです。

さて、この中で、頑張って改善されるのは『ドイツ語能力』と『英語能力』です。高校や大学の成績は変えられません。というわけで、我々がドイツの大学院を受験するにあたって準備すべきものはこの2つの語学能力です。

まず、TOEFL87点(IELTS6.0)は地味に厄介です。ただし、英語能力は必要とされない学部や大学も多いですし、スコア自体、ドイツ語と比べて下積みがある分そこまで厄介ではないです。TOEICで800点くらいある人であれば、2ヵ月くらい頑張れば十分到達可能な数字です。

そして、ドイツの大学院受験者にとって最大の鬼門が『ドイツ語』です。英語や成績は不問のところも中にはありますが、ドイツ語を不問としている大学は、一部の大学のMBAプログラムのように、授業が全て英語で行われる私立大学程度です。ほぼ100%近く、受験者はTestDaF4×4かDSH2に合格しなくてはいけません。

具体的に、いつまでにこのドイツ語のテストに合格する必要があるかというと、大体、ドイツの大学の募集期間は年に二回、EU圏外からの受験者である我々は、6月~7月か12月~1月辺りにインターネットと書類で応募することになります。

TestDaFは年に数回受験可能ですが、大学の情報を揃える期間も考慮すると、募集期間の2ヵ月前辺りには合格しておきたいことになります。で、このTestDaF4×4ないしはDSH2レベルに達するにはどのくらいの期間が必要か、というと、人にもよるとしか言えませんが、ドイツ語をまったく勉強したことが無い人で、最短で半年、最長で2年、という記録を私は個人的に知っています。

もっとも、半年で合格した人はそのほかにロシア語とスペイン語と英語を話せる、もともと語学の能力に長けていた人ですので、あまり参考にはならないかもしれません。逆に、2年以上合格せずに、結局その道をあきらめた人も多くいます。

平均するとドイツ語の知識ゼロの状態から『1年半』を想定しておけば、よっぽど不勉強ではない限り、合格可能なはずです。英語と成績の問題はさておき、まずはこの『高レベルなドイツ語能力』に達するために、全精力を注ぎましょう。

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高レベルなドイツ語能力に達するために:語学学校へ通う

この方法は、たくさんあるように見えて限られています。まず、このTestDaF4×4という数字がどのような数字かピンとこないと思いますが、英語で例えると、個人的にはTOEFL80~90点レベルの実感です。

ただし、中学校から勉強してきた英語と違って、ドイツ語をそのレベルまで持っていくには結構な困難が付きまといます。私の知る限り、これを独学で達成した人はいません。居たとしても、ものすごい天才か一握りの才能の持ち主だと思いますので、基本的には語学学校に通うことがお勧めです。

語学学校の決め方ですが、一人で決める場合、Deutschland, Spracheshuleで検索をかけてみると、語学学校のサイトがたくさん出てきます。ここで、英語で読み書きできないとちょっときついですが、できれば、直接語学学校と交渉できるところもあります。

ちなみに、私に連絡いただければ語学学校を紹介することはできます。私を介しても授業料は安くも高くもなりませんが、語学学校との交渉やビザ・大学受験の相談事くらいなら承ります。私は大体私の母校のKapitoという語学学校を紹介しています、平均より高いですが平和な町(Münster)で、講師の質もよいです。

語学学校Kapito

http://www.kapito.com/de/home.html

ただし、私自身はあまり代理店を信用していないので、自分で適当に決めました。よっぽど安くて怪しい語学学校でない限り、そこまで大外れをひくことはありません。平和そうな町を探して、学校にメールを入れてパンフレットを貰って決めました。できれば、長期ではなく、2~3ヵ月の短期で申し込んでおくことをお勧めします。周りの人や、同級生から、いろいろな情報が収集得来ますし、その学校や町が合わないと思ったら引っ越すこともできます。

さて、語学学校は基本営利団体ですので、当然お金がかかりますし、生活費を含めると馬鹿になりません。そこで登場するのが『大学の語学準備コース』です。ほとんどの大学は、ドイツの大学で勉強したい人向けに、語学準備コースを設けていて、学費が私立の語学学校とは比較にならないくらい安いです。

具体的に、毎日3時間の授業を半年で、300~400ユーロといったところだったと思います(うろ覚えですが)。ただし、この『大学の語学準備コース』に入るためには『そこそこのレベルのドイツ語能力』が必要になります。具体的には、ヨーロッパの語学能力判定でB1~B2程度のレベルが求められます。

ただし、この程度のレベルであれば、独学で基礎文法を理解(2ヵ月くらい)→語学学校で会話を習得(2~3ヵ月くらい)、という流れで、あまりお金をかけずに済みます。語学学校に一年間かようと100万円くらいですが、大学の準備コースでしたら10万円もしませんので、かなりお得ですし、授業の質も割とよいです。

次回は、ドイツ語試験と大学院入学までの流れです↓

ドイツの大学・大学院受験のための具体的な流れ(その2)