ワールドカップ優勝国、サッカー大国ドイツのファンフェスは一味違う

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2014年度ワールドカップはドイツ国内で異様な盛り上がりを見せました。7月13日にアルゼンチン対ドイツ戦が行われたときは町中の誰もが自宅のテレビか、広場や居酒屋のパブリックビューイングに釘付けになり、母国の優勝を祝う人でにぎわいました。

サッカー観戦のできるクナイプの様子

サッカー観戦のできるクナイプの様子

上記の写真では、アルゼンチン対ドイツの決勝開始2時間前にもかかわらず、パブリックビューイングの居酒屋ですでに大勢の人が場所取りをしています。ここから飲めや歌えの晩がつづき、中には泥酔して優勝の瞬間をみれない残念な人もいました笑

試合はドイツの勝利に終わり、2014年度ワールドカップの覇者はドイツに決まったところで、街のいたるところで大騒ぎや花火大会がはじまりました(これは東西ドイツが統一してから初めてのワールドカップ優勝でした)。

サッカーと言えばドイツ、ドイツと言えばサッカー(またはビール)というほどドイツのサッカー熱は異常です。今回は、そのサッカー熱の熱いドイツにおいて特にファンの熱狂的な『Schalke』(シャルケ)のファンフェスティバルに行って来た時の様子を紹介します。

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FC Schalke 04のファンフェスティバル

シャルケはご存知の通り、日本人の内田選手がプレーしているドイツのサッカーチームです。過去7回リーグ王者に君臨し、ドイツ国内にあってミュンヘンに次ぐクラブ会員を誇る名門チームです。

一方でその最大のライバル『Borussia Dortmund』(ドルトムンド)も大規模なクラブ会員と観客動員数をほこり、さながら両者の対決は異様な盛り上がりをみせます。こちらには同じ日本人の香川が所属しています。

元々はシャルケやドルトムンドといったノーストファーレン州にあるサッカーチームは、炭鉱の町として栄えた名残です。劣悪な環境下で、仕事しかすることがなかった炭鉱夫たちの唯一の娯楽としてサッカーが普及し始め、今では世界的にもサッカーの人気の高い地域となったのです。

ギーゼンキルヒェという、西ドイツの駅にある国内1~2を争う人気サッカーチームです。元は、ルール工業地帯の劣悪な環境で暮らす労働者のために気晴らしにつくられたものでしたが、それが今では大きなスタジアムを持つようになりました。

私は現在はドュッセルドルフに滞在しているのですが、そこから電車で1時間ほどでシャルケスタジアムのある『Gelsenkirchen駅』に到着します。複数人で行ったので、電車の複数パスを買いましたがそうすることで5人まで25ユーロで電車に乗ることができます。電車の乗り方についてはまた別の記事にまとめていきます。

Gelsenkirchen駅のホームの様子

Gelsenkirchen駅のホームの様子

朝9時ごろ『Gelsenkirchen駅』に到着しましたが、そこからさらにU-Bahnを使ってスタジアムまで行かなくてはいけません。朝にもかかわらず、電車内には大勢の青いユニフォームを着た人たちがいました。ここでドルトムンドの話をするのはタブーです。北朝鮮で資本主義を賛美するようなものです。

Gelsenkirchen駅のU-Bahnの様子

Gelsenkirchen駅のU-Bahnの様子

パスを使えばU-Bahnも乗ることができます。ここからさらに30分程度、満員列車に乗りながらスタジアムを目指しますが、すでに電車内で歌を歌っている人もいます。チームカラーは青色なのですが、街中はシャルケ一色で、パン屋やクリーニング屋の看板も青でした。

ファンスタジアムにつくと、いろいろなところでグッズを売っている姿が目立ちます。また、さすがにドイツ最大規模のサッカーチームということもあり、無料でスカーフや麦わら帽子などもゲットすることができました。

ファン会場内へ入ることに関しては無料です。さすがに金のあるクラブチームはやり方がすごいです。シャルケは世界でも有数の『ファンを大切にするチーム』なんだとか。そのため、気前よく手を振ってくれたり、写真を一緒にとってくれたり、サインを書いてくれたりします。

ファン会場内には様々なブースが並び、子供たちがゴールキックを体験するブース、フットサルをするブース、写真撮影をするブースなど様々です。中には、ヘリコプターや移動遊園地のような施設もありました(確か値段は高かったと思いますが)。

どれもそれなりに混雑しているのですが、その中に、ひときわ目を引く長蛇の列がありました。いったいこれはなんでしょう、と訳も分からず並んでみました。並ぶのには慣れている日本人ですが、一緒に行ったフランス人はぶつくさ文句を言っていました。

シャルケファンフェスの長蛇の列

シャルケファンフェスの長蛇の列

かれこれ30分くらい並んでみて分かったのですが、これはどうやらファン感謝祭のメインイベント、選手による『サイン会』だったようです。ブースの中ではトレーナーやら選手らが黙々とサインを書いており、頼めばシャツやカバンにもサインをしてくれる、という実にファンにとっては楽しい企画でした。

有名選手のブースのところは混んでいたので、今回は少し暇そうにしていたトレーナーさんのサインをもらってきました。正直誰だかわかりませんが、優しかったのでファンになりそうです。内田篤人選手もどこかにいたようでしたが、残念ながら今回はみることができませんでした。

ファンフェスで頂いたサイン

ファンフェスで頂いたサイン

また、ワッペンの刺繍もシャルケの特徴です。自分のユニフォームを持っていき、販売店でワッペンを買うと肩につけてくれるサービスをおこなっています。ただし時間が1時間くらい待たされるので、時間に余裕がないと大変です。

午後には親善試合が行われたようでしたが、今回はスタジアムが混んでいたので前で写真だけ撮って帰ってきました。いずれサッカーの試合についての記事もあげていこうと思います。

サッカーと経済の話

シャルケは、ゲーゼンキルヒェに本拠地を置くドイツ名門サッカーチームの一つです。過去7回ドイツリーグで優勝した経験があり、現在は日本人の内田篤人選手がいることでもたびたび日本のマスコミによって騒がれています。

ちなみにドイツ国内のサッカークラブの中で、ファンの試合平均の動員数はバイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムンドに次ぐ3位となっており、6万人を超える観客が一試合につめかけます。

日本で最も人気の高い浦和レッズで平均観客動員数が3万人、野球でいうと巨人や阪神が4万人程度ですので、日本よりも人口の少ないことを考えると以下にファンが熱狂的かということがお分かりになるかと思います。

http://fussball-geld.de/finanzen-der-vereine-schalke-04/

上記サイトはドイツサッカーチームの財政情報などをのせていて興味深いのですが、同サイトによると2012年のシャルケの収入は約2億ユーロ(約300億円)、であり、これは大リーグのニューヨークヤンキースとほぼ変わらぬ収入です。

おお、流石ドイツ3位の観客動員数は伊達じゃなく、これだけ豪勢なファンフェスをひらいたのも納得と思いましたが、あとから面白い記事をみつけました。

Schalke-Vorstand baut ein wackeliges Finanz-Konstrukt

『シャルケ役員は危うい財政体質を作り上げた』

一見羽振りがよさそうに見えるシャルケですが、実はその中身は選手の年棒の高騰などで危うい状況にある、ということを同紙は述べています。

2009 lag diese Überschuldung bei rund 77 Millionen Euro, dank der Champions League sank die Überschuldung 2011 vorübergehend ab, um aktuell auf dem Hoch von über 83 Millionen Euro zu liegen.

『2009年には債務超過額が7700万ユーロ程度であり、一旦チャンピオンズリーグの影響などで2011年には持ち直したものの、現状では8300万ユーロ近い債務超過をかかえている。』

なるほど、夢が無いようですがやはりどこでもお金の話は重要なようです。身売りなどしたら熱狂的なファンがなにをしでかしたものか分かりません。