哲学に大きな影響を及ぼした精神分析の父、フロイトの生涯と思想

Freud

『神は死んだ!』とニーチェが言いましたが、そもそも誰よりも鋭利に徹底的に神を殺してのけたのがジクムント・フロイトではないでしょうか(両方ともドイツ人ですが)。

彼の功績は、今でこそ心理学・精神分析が発展して過去のものとなっていますが、当時としては恐ろしく画期的なものでしたし、今でもたくさんの文献に引用されており、まさに『精神分析の父』というだけでなく『近代思想の父』という名を冠するにふさわしい人物でしょう。

さて、シュールレアリズム、生物学、哲学など現代思想に偉大な足跡を遺した彼の生涯はどのようなものだったのでしょうか。

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フロイトの生い立ち

厳密にいうと彼はドイツ生まれではありません。1856年、オーストリアのユダヤ商人の息子として生をうけた彼は、幼少時より生物学や医学などに興味を持ち、1873年には名門ウィーン大学の医学部に入学します。

一旦のパリ留学をはさみ、30歳でウィーンに戻ってきた彼は、開業医として心理学の治療をつづける傍ら、自身の提唱したヒステリー論を端緒に精神分析の研究を続けます。

そして、1900年ちょうどには、自身の論文『夢判断』を出版し、これがウィーンの学会の波紋を呼びます(『夢判断』は、確か新潮社の文庫で読めたと思います)。

それからも彼は、熱心な執筆活動を続けてきます。1913年には『トーテムとタブー』、1917年に『精神分析入門』、1920年には『快感原則の彼岸』など、自身の意見を二転三転させながらも、フロイトの精神分析家としての地位は徐々に名声を高めていきます。

一方で、ナチスの魔の手はユダヤ人である彼の身にも迫ってきます。1938年にはゲシュタポによって娘が拉致される(その後解放されたが)という事件が起き、ついにフロイトはイギリスへの亡命を志します。

そこで手厚い歓迎をうけた彼は、最晩年の重要な書である『モーセと一神教』を書き終えた後、1939年にその地で息を引き取ります。

フロイトの思想

長々とここに書いていくとおそらく卒論が一つ出来上がるほどなので省きますが(笑)、彼が現代思想に持ち込んだものは平たくいうと『無意識』の発見です。

ダーウィンが進化論を発見し、コペルニクスが天球の回転を発見したように、フロイトは人間の『無意識』という闇を発見してしまいました(当然、これは神の意志に背きます。我々を操っているのは、機械的な『無意識』というシステムだということになってしまうからです)。

さて、例えば我々がある重要な会議に出席しているとしましょう。貴方は司会者です。とても緊張しています。皆の前でマイクをもって、これから『会議を始めます』と言わなければなりません。

そこで、あなたの口をついて出た言葉はなんでしょうか?あなたは、はからずとも『会議をはじめます』ではなく、緊張のあまり、『会議を終了します』と言ってしまいました。

フロイト曰く、これはあなたの『深層心理』だということです。極限の緊張状態にあって、あなたは自分さえも知らない『無意識』の望んでいる『こんな会議さっさと終えてしまいたい!』という感情が、とっさに出てしまったというのです。

むろん、無意識は『無』意識なので、我々には見えませんし、もちろん精神分析家にも見ることはできません。ただそれは、このような『言い間違い』や、あるいは『夢』のような自由連想の形をとって、我々にその姿を語り掛けてくる、というのです。

無意識を発見したフロイトは、その起源を幼少期に見出しました。幼少期、例えばあなたには怖い怖い父親や、教育熱心な母がいました。

彼らは、超自我という、自らを律する存在と化して、大人になってもあなたを無意識に支配しようとします(超自我、自我、エスの関係などは、複雑なので省きます)。

またフロイトは、無意識を徐々に『性』に結び付けることに傾倒しはじめます。すなわち、女性の見る『馬』の夢は、男根の象徴であり、彼女は欲求不満である、と。

彼の極端な父親崇拝は、当然世の中の賛否を呼びましたし、幼少期の研究に関しても、いくつもの『虐待』の証言が、のちに虚偽であったことが判明しています。

彼の研究は、今やユングの霊感と同じように眉唾とされていますが、それでも基礎を築いたのは間違いなく彼ですし、彼無くして近代思想は間違いなく語れません。

晩年に、フロイトはユダヤ人でもある自らのルーツを『モーセと一神教』という書物にまとめます。これを晩年に世に出した理由は、もっとも世に出したかったにもかかわらず、もっとも反発をくらうと思ったからではないでしょうか。

結果を言うのは野暮なのでその結末はあえていいませんが、下手な歴史ミステリーや推理小説よりも100倍面白いことを保証します(たしか、筑摩書房で出てたと思います。)

あくまで、全部を語るのは無理なので、ここらへんにとどめておきますが、もし興味の出た方は、以下の本が日本でも読めるので読んでみたらよいかと思います。

参考文献

新潮社で出ているものは比較的簡単で、筑摩で出ているものはそれと比べるとやや難しいです。あとは、岩波かどこかでフロイト全集が出ています。

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