ドイツは日本に似ている!?各国のとる対人距離とコミュニケーション

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日本と違ってヨーロッパは陸続きなので色々な文化の人たちがいます。少し面白いのが、イタリア人は『なんだこいつ』と思うくらい近くで話し、ドイツ人は割と距離を置いて話したがる、というところです。

その区分けが、人類学的になされているようなので、今回はドイツにおける『人との距離の保ち方』というのをテーマにまとめていきたいと思います。

アカデミックなところからの引用になりますが、ドイツに住んでいてあながち間違いではないかなと思うところが多いので、参考にしていただければと思います。

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対人距離の定義

アメリカの有名なエドワード・T・ホールという人類学者が、人々の取りうる距離を4つにまとめていますので、以下に紹介します(ドイツ語訳が分からないので英訳ですが)。

Anthropologist Edward T. Hall described four levels of social distance that occur in different situations:

『文化人類学者のエドワード・T・ホールは、4つの異なった状況下における「social distance(社会的距離)」を分類分けした』

彼に言わせると、対人間の距離はIntimate distance(密接距離)、Personal distance(個人的距離)、Social distance(社会的距離)、Public distance(公的距離)の四つに分類され、それぞれの状況に応じて使い分けると言った形です。

  1. Intimate distance(密接距離)15~45cm程度
    このレベルにおける身体的距離は、親密な関係や恋人関係を意味します。ハグや、耳打ちや、愛撫などをするのはこの距離ですので、日本人でもこの距離に入る人は恋人などに限られてくるでしょう。
  2. Personal distance(個人的距離)45~120cm程度
    この距離は家族や親しい友人とのあいだで生じます。一般的に、友達などと話していて心地よい距離というのはこの辺でしょう。
  3. Social distance(社会的距離)120~360cm程度
    ホールの区分けによると、単なる知人などとの距離はこの辺がいいそうです。もっとも、120~360cmというのもだいぶ差があるので、以下のように使い分けます。

    例えば、週に何回か顔を合わせる会社の同僚とかであれば120cm前後が望ましいですし、月に1回くらいしか顔を合わせない配達のお兄さんとかは300cm程度が望ましい、と記事には書いてあります。

    (300cmも離れたら荷物が受け取れなそうですが笑)

  4. Public distance(公的距離)360cm~750cm程度
    これは、公衆の面前でのスピーチや、学校の授業、挨拶をおこなう距離です。大体相手の顔が分かるかな、という程度の距離ですので、はじめてみる人がその中にいても問題はありません。

Personal distanceとドイツ人

さて、海外でしばしば問題になってくるのが2番目に触れた『Personal distance(個人的距離)』です。この個人的距離にはさらに3分類あり、これは国によって異なるそうです。

面白いことに、胸から体の特定の部分までの距離をつかって、以下の3つに一般的には分類されるようです(ここからドイツ語を使います)。

1.Elenboden(肘)

ピンと腕を伸ばして、肘までの距離に友人を入れるのが心地よいと感じるのがイタリア、スペイン、トルコ、ギリシャなどの国々です。

まあドイツ語のコラムに書いてあったことなので、若干のステレオタイプも含まれていると思います。ただ一応、人類学者の人(Desmond Morris)が調べたことなので、あながち間違ってないはずです。

ちなみに、イタリアやギリシャの人たちは、挨拶の時に男女構わずキスをします(確か2回くらい)。多分我々の文化を知っているので我々には無理強いしないでしょうが、してくれたらノってあげましょう。

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また、コラムには、この国の人たちは『会話する=その後長らく友人であることを考えている』と書いてあり、家族構成とか恋人の有無とか、プライベートに関することもお構いなしにテーマにしてくるそうです。

2.Handgelenk(手首)

ピンと腕を伸ばして、手首までの距離に友人をいれたがる国々がロシア、フランス、アメリカ、中国などです。

もう少しアメリカ人は『hahaha』といって握手を求めてくるイメージを想像していたのですが、イタリアやスペインに比べるとまだまだなようです。

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ちなみに、ここの国の人たちは著名人の話題とか差しさわりのないテーマを求めるそうで、家族構成などはあまり聞かないほうがいいそうです。

3.Fingerspizten(指先)

指先までの距離にしか人を受け付けないのが、ドイツ、日本、イギリスです。理由は分かりませんが、アメリカ人の友達が『hahaha ジャパンは狭いから自分の場所を確保したいんだな』と高笑いしていました。

多分ですが、幕末などに笑って近づいてきて刺し殺されるようなことが多かったから『俺のテリトリーに入るな!』となっている気がします(私の推測です)。

上記の表をみれば分かるように、日本とドイツは同じカテゴリに区分けされているので、要するに日本で普段通り接する距離を保っていれば失礼には当たりません。

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ただ、他の異なる国から来た人に必要以上に距離を保ってしまうと『私はあなたを拒絶します』の意味になってしまうので、その辺は上記の表を参照に適切な距離を保ってください。

ちなみに、ここの『Fingerspizten-Staaten』と呼ばれる国の人たちの取り扱いについて、人類学者のDesmond Morrisはこう述べています。

Gespräche über das Privatleben sind teilweis tabu. Komplimente über Beruf und Firma hort man in diesen Ländern gern, ein Lob zur Person oder zur Kleidung ist dagegen unpassend.

『彼らにプライベートな質問をすることは時にはタブーとなる。人格や外見ではなく、とりあえず仕事や会社のことを褒めておきなさい。』

上記の文はドイツ語のB1の教科書から引用しました(少し意訳しましたが)。まあ、私の語学学校の先生も『私はこれまで失礼な日本人というものを見たことが無いわ!』と言っていましたので、我々が日本で普段接するように接していれば、特段ドイツ人との間でトラブルは生じないはずです。

ドイツでしてはいけない仕草やジェスチャーなどは、以下のタブーのページを参照してください。

我々アジア人からしてみたら、欧州のタブーは少し勝手が違うので混乱しがちですが、最初におさえて置けば問題ありません。別に法に抵触する、とかではなく、不文律の『タブー』なのです(マナーと言ってもいいでしょうが)。

以上、海外生活における『人との距離の保ち方』でした。