ところ変われば病気も違う:ドイツで罹りやすい病気・症状と対処法

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海外で病気になると、国内で病気になったときの何倍も不安に駆られます。そもそもドイツ語での会話もままならないような時に罹ってしまったら、どんな処方をされたのか、どんな治療をすればいいのかということが分かりません。

また、自分の症状を伝えられないというのも一つのネックです。咳、頭痛、吐き気など簡単なものはともかく、異物感、倦怠感、寝苦しさなど、微妙に伝えにくいような表現はやはり外国語では不安です。

今回から、いくつかのパートに分けて『ドイツと病気』という形で、しばらく病気について記事を書いていきたいと思います。

今回は『ドイツで罹りうる病気』です。また、医者に伝えるために必要な病気用語もここでいくつか紹介していきますので、診療される際の参考にしていただければと思います。

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ドイツと病気

ドイツは衛生状況もきちんとしており、水道水を飲んでも問題ありません。基本的に、病気に晒されるリスクとしては日本にいるときと同等レベルと考えても問題は無いでしょう。

注意しなくてはいけないのが、食生活が変化したことで自身の体の免疫力が落ちたり、運動不足になってしまうことです。

これらは、結果として様々なウィルスやバクテリアに感染するリスクを高め、結果としてドイツ国内で病気になる可能性が高まります。

以下、ドイツで罹る3つの病気について症状とや対処法についてまとめていきます。もっとも、この記事は『症状を詳しくドイツ語で知り、医者に知らせる』ことが目的ですので、体調不良を感じたら何をさておき病院へ行くことが先決です。

まずは病院へ!

まずは病院へ!

1. Erkältung(風邪)

ドイツ滞在中にもっとも頻繁に病院の世話になりえる原因が『風邪』です。上述しましたが、食生活が変わったり、慣れない生活でストレスが溜まっていると、国内にいるときの何倍も病気のリスクが高まります。こじらせると一ヵ月も二カ月も治らない可能性もあります。

以下『風邪』の説明をドイツ語の健康サイトを参照しながらまとめていきます。

http://www.onmeda.de/krankheiten/erkaeltung.html

Erkältung(風邪)とは

一概に『風邪』といっても様々な原因が考えられます。このドイツのサイトでは以下のように定義されています。

Die Erkältung (auch “grippaler Infekt” genannt) ist eine der häufigsten Erkrankungen überhaupt: Im Mittel erkälten sich Erwachsene 2- bis 3-mal im Jahr, Kinder im Vorschulalter sogar 4- bis 8-mal.

『「風邪(感冒ともいう)」は、総じてもっとも頻繁に起こりうる病気の一つである。平均して、成人であれば年に2~3回、子供であれば年に4~8回罹る計算になる。』

同サイトによれば、風邪は主にウィルスによって上気道が炎症を起こした状態を指し示し、代表的なウィルスには ライノウィルス、コロナウィルス、アデノウィルス(Rhino-, Corona-, Adeno-)などがあげられるそうです。

また、まれではあるがバクテリアによる感染もあるといいます(マイコプラズマなど)。

In wenigen Fällen entsteht zusätzlich eine Infektion durch Bakterien

『稀ではあるが、バクテリアによって感染が引き起こされるケースもある』

日本でも『風邪』の範囲は広いので、ある一つの例を挙げて『風邪』とみなすわけにはいきません。要するに、学術的に『感染性、特にウィルス性(様々な種類の)の喉の炎症状態』を風邪とみなします。

症状としては以下のような症状が挙げられます(あくまで一般的な例です)。

  • Husten(咳)
  • Schnupfen(鼻水)
  • Heiserkeit(風邪声)
  • Halsschmerzen(喉の痛み)
  • Kopfschmerzen(頭痛)

Halsschmerzen, Kopfschmerzenのように『Schmerzen』で『痛み』を意味します。他にも歯の痛み、胸の痛みなど、汎用性のある単語ですので覚えておきましょう。

対処法

ウィルスによる風邪の場合、抗生物質は効かないので対症療法に頼るしかありません。

私も何度か風邪でドイツの病院にお世話になったことがありますが日本のように気休めの薬をくれるわけでもなく『生姜汁を飲みなさい』『家でゆっくりしなさい』的な助言を受けただけです。

もちろん、時と場合によりますが、ドイツのサイトによると以下の療法が風邪には一般的に有効に作用するそうです。

  • sich körperlich schonen
    体を休める
  • Tabletten lutschen
    薬を飲む
  • typische Hausmittel gegen die Erkältung einsetzen (z.B. Dampf inhalieren, heiße Getränke mit Honig trinken).
    一般的な民間療法(例えば、水蒸気を吸う、はちみつを入れたお湯を飲む、など)

ちなみに、よく勘違いされていますが、抗生物質が有効なのは風邪が『バクテリア』によって引き起こされた場合のみです。ウィルス性の場合には上記のような対症療法に罹る以外治療法はありません(インフルエンザは別ですが)。

Antibiotika helfen bei einer virusbedingten Erkältung nur dann, wenn zusätzlich eine Infektion mit Bakterien vorliegt, weil diese Medikamente ansonsten keinen oder nur einen geringen Nutzen zeigen

『抗生物質は、バクテリアによって引き起こされた風邪にのみ有効である。そのほかの原因によって引き起こされた風邪に関しては、皆無、あるいは微量の効き目しか及ぼさない。』

風邪の予防法

正直、たかが風邪なのですが、一日中喉のイガイガがとれず、頭もぼんやりしたので、受験生にとってはかからないに越したことがないのが風邪です。

日本と同様、ドイツでも「運動」「睡眠」などが風邪の予防には有効であると言われています。以下、予防に関する記事です。

Zu 100 Prozent kann man einer Erkältung nicht vorbeugen – wer jedoch seine Abwehrkräfte fördert, senkt das Risiko, dass ein grippaler Infekt entsteht. Eine ausgewogene Ernährung, ausreichend Schlaf und viel Bewegung stärken das Immunsystem, das dann Erkältungserregern besser standhalten kann

『100パーセント風邪を予防することは不可能であるが、風邪に対する抵抗力を高める、感染のリスクを軽減することは可能である。バランスのとれた栄養の摂取(ausgewogene Ernährung)、十分な睡眠(ausreichend Schlaf)そしてたくさん運動すること(viel Bewegung)が、風邪に屈しない体の免疫システムを高める。』

やはり、普段の心構えが大切なようです。

2. Lebensmittelvergiftung(食中毒)

お手軽にかかりやすい次の病気が『Lebensmittelvergiftung(食中毒)』です。冬場はともかく『夏は暑い』という原則はドイツも同じですし、長時間放置していたものを食べると当然お腹を壊します。

もっとも、冬でもノロウィルスのようなウィルスは活発に活動していますので『この季節は安全』とかいった補償はどこにもありません。

Lebensmittelvergiftung(食中毒)とは

調理器具や、食品そのものに付着した細菌、毒物が体内に侵入し、中毒を起こすことを総称して『食中毒』と言います。

細菌性で有名どころとしてはボツリヌス菌や腸炎ビブリオ、他にもキノコやフグといった自然毒によるものや、鉛や青酸カリといった化学薬品による中毒も『食中毒』に該当するそうです(以前、公園に生えているキノコを食べているドイツ人を見かけましたが、食中毒に対する観念が希薄なんでしょうか)。

Der Begriff „Lebensmittelvergiftung“ umfasst umgangssprachlich alle oben genannten Begriffe.

『食中毒の概念は、上述の(細菌、自然毒、化学薬品)を総称したものである』

症状としては、おそらく経験された方が多いと思われますが、以下のようなものが現れます。

  • Übelkeit und Erbrechen(吐き気と嘔吐)
  • Durchfall(下痢)
  • Fieber(発熱)
  • Bauchkrämpfe(腹部の痙攣)

これらの症状が出たら、まずは病院に行き、食中毒の原因を特定することが重要です。食中毒に関しては、原因によって治療法が異なりますので、民間療法やインターネットで聞きかじった情報をうのみにしていると命にかかわります。

予防法に関しては、日本と同様に石鹸をつけて『手洗い』をすることです。

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3.Depression(鬱病)

日本人も含め、実はドイツにくる外国人の中ではこのDepression(鬱病)もかかりやすい病気の一つです。

よく『鬱病は甘え』と言われますが、私はそういった見解は微妙なところかと思います。実際に、私は前の職場で体育会系でバリバリの営業マンが、ある日鬱病で休職するのを見たことがありますし、一概にゆとりだから、心が弱いから、といって片付けられる問題ではないかと思います。

Depression(鬱病)とは

感情面の沈滞、それにともなう意欲や行動力の減退を総称して『Depression(鬱病)』と呼びます。ドイツのサイトによる定義は以下のとおりです。

Eine Depression ist eine psychische Erkrankung – genauer: eine affektive Störung: Affektive Störungen sind Erkrankungen, bei der es häufig zu Schwankungen der Stimmung und des Antriebs kommt.

『Depression(鬱病)とは心の病気である。情緒不安と言った方が適格かもしれない。情緒不安は気分や衝動の沈降がたびたび訪れる病気のことである』

ドイツいるからなる、というよりは『環境が変わったから発症する』というケースが多いです。症状としては以下のようなものが見受けられます。

  • gedrückte Stimmung(気分の消沈)
  • Interessenverlust(興味の喪失)
  • Freudlosigkeit(喜びの喪失)
  • Antriebsminderung(衝動の停滞)

これらは初期症状ですが、これらが続くことによって副次的に不眠(Schlaflosigkeit)、食欲不振(Appetitlosigkeit)、便秘(Obstipation)などを病むようになり、最悪の場合自殺衝動に駆られます。

特に日光不足の秋・冬に発症する傾向が強く、対処方法としては運動やストレス解消、友だちづきあいなどがあげられます。以前まとめた以下の記事を参考にしてください。

長年こちらに住んでいる人などからもきいて情報収集したので、以下に、ストレスを感じた時にいくつか効果のある気晴らしの方法をお教えします。

上述した3つの主な病気以外にも、ドイツではやはり様々な病気やケガにかかる可能性があります。次回は、病院の使い方についてまとめます。